AO入試について


坪井繁治さんの詩です

 

石は億万年を

黙って暮らしつづけた

その間に空は

晴れたり曇ったりした

 

大学受験制度の中でAO入試は割と最近に登場した特色ある入試の形態です。多くの大学が小論文を課しますので、18歳という年齢時に自分自身がいったいどんなことを考えて、また大学でどんな学問をしたくて受験したのか?が分かる価値のある受験になると思います。いくつかの実例を紹介します。

 

① 慶応大学湘南キャンパス(SFC)

文字通り湘南にある慶應義塾大学の総合政策学部と環境情報学部で、文系理系の両方からアプローチ出来ることと各学部100名の募集なので人気が高く、また大学の発表では一般入試の学生よりAO入試で入った学生の方が、入学後活躍している割合が高い模様です。

柴田ゼミからは理系の生徒が環境情報学部に合格しました。夏休みに2000字の研究論文を作成し、10月の2次試験で口頭試問をされました。内容は彼の地元である斑鳩の里の下水処理について、ビオトーブを用いることによって自然と上手に付き合う新しい水の循環プログラムを作ろうというもので、現地調査として琵琶湖の近くの針江地区川端(かばた)の人々の自然に寄り添い守っていく姿を学びに行ったり、奈良藤原京が下水処理の失敗で都を10年で放棄せざるをえなかったことなどを学び、なかなか内容の濃い論文を作成してくれました。

 

②慶応大学法学部フィット入試

募集要項には『この学生を「教えてみたい」という私たち法学部教員と、第1志望で慶應義塾大学法学部法律学科・政治学科で「勉強したい」学生の良好な相性(FIT)を実現しようとするもの・・』という記載があります。A方式B方式と2種類の入試があり、両方に同時出願も可能です。法律学科と政治学科ともに80名ずつの募集があり大変人気の高い入試です。確かに日本の文系私立大学ではトップの偏差値の学部ですね。

柴田ゼミからは法学部政治学科に進学しています。彼女の場合はちょうどタイムリーにTPP(環太平洋経済連携協定)がニュースでよく取り上げられていた時だったので、その中のジェネリック薬品の特許期限をなんとかして延ばそうとする米国の姿勢に対し『大国の横暴は許されない!発展途上国の人々の命を守ろう』といった主張に、太古のモンゴロイドが刳り船で太平洋を渡っていた頃の環太平洋の共同体の在り方や環太平洋造山帯を中心に生命圏が栄えた地球を一つの生命体として捉えるガイア理論からTPPのあるべき姿に言及した力作(2000字小論文)でした。この時もフィールドワークが大切ということで大阪府立弥生博物館のモンゴロイドの海洋世界展を見学し、ガイア理論に基づいて作られた大阪海遊館の展示を取材に行きました。

 

③関西学院大学AO入試

柴田ゼミからは理工学部数理科学科と社会学部、法学部などに毎年、複数名が合格しています。このAO入試では、他大学のように2000字程度の論文は課されないのですが、志望理由書と自己紹介文章だけで2000字を軽く超えるボリュームです。数理科学科は2次で論文ではなく数学の記述問題と数Ⅲの諮問があります。文系学部では英語と国語の記述問題が課されます。関学のAO入試は「2次は面接だけ」ではありませんので、くれぐれも教科の学習が大切になると思ってください。

 

④関西大学社会学部心理学科AO入試

ここは「志望動機4000字」です。4000字もの論文は高校生にはなかなか書けるものではありません。論文の全体像をしっかり捉えた上での文章力が必要です。

柴田ゼミから合格した生徒は高校の映像部で自分の作った映像作品をもとに情報発信のあり方やCMの分析などを具体例をいくつも上げながら論述していきました。4000字を書くには、やはりその人間の引き出しの多さが大切だと思い知らされた入試でした。2次は面接のみです。